ラフから線画を描くまでの基本的な流れとテクニック
イラストを描く際、多くの人はラフから始めて下書きを描き、その後に線画を仕上げるという流れを辿ると思います。
しかし、ラフ、下書き、線画の各工程にはそれぞれ意味があり、意識すべきポイントや設定が異なります。
この記事では、線画までの各ステップで役立つ具体的なポイントを詳しく解説します。すぐに実践できるヒントが満載なのでぜひ最後まで読んでみてください。
(イラスト全体の工程は以前記事を描いたので参考にしてみてくださいね)
目次
ラフ
ラフはイラストの大まかな構図やポーズ、バランスを決定し、アイデアを発散させて描きたいものの方向性を決める工程です。
この段階で注意すべきポイントは4つあります。
1. 太く薄いペンで描く
ラフはあくまでざっくりとしたガイドを描くものなので、太くて薄い設定のペンで描くのがおすすめです。
細すぎるとなかなか構図がまとまらなかったり、線が濃いと重ねて線を描いたときに潰れてしまいます。
参考までに、私のラフ用のペン設定はこんな感じです(CLIP STUDIO/鉛筆)
2. バランスを重視しておおまかに描く
シルエットを捉えることに集中し、細かく描き込まないようにします。
全体のバランスが整っているか確認しながら描くことが重要です。
デジタルイラストであれば左右反転や自由変形などを駆使して描いてみて下さい。キャンパスに大きく描くのではなく、小さめに描くと全体が見渡せてバランスを取りやすいです。
アナログイラストであれば紙から顔を遠ざけて、全体を見渡しながら描きましょう。
3. アタリを重視しすぎず、服や髪なども考慮して描く
キャラを描くとき人体のアタリを描く人が多いと思いますが、アタリはあくまでガイドラインなのでそれに囚われすぎないようにしましょう。
アタリの時点でバランスが取れていても、服や髪を描いてバランスが崩れていては意味がありません。
ラフを描く際は服や髪、背景も(できれば)シルエットだけでも良いので描く癖をつけましょう。
4. 一つに時間をかけすぎず、複数描く
ラフは基礎作りの段階なので、一つのラフには時間をかけすぎずに描きましょう。
私は長くても5分くらいに納めるようにしています。
また、同じテーマでいくつかラフを描いてみてしっくり来るものがあるか模索してみましょう。
構図の練習にもなりますし、より作品の完成度が高まるはずです。
🖊 テーマ 「水着パーカー/サングラスずらし/ウェーブボブ」 でラフを描いてみました
下書き
ラフをもとに下書きを描いていきましょう。
下書きはラフで発散させたアイデアを線画に向けて収束していく工程です。
ここではポイントを5つ解説します
1. ラフを薄くして新規レイヤーで描く
ラフを薄くしてその上に新しいレイヤーを作成し、下書きを描きます。
アナログの場合は練り消しを使うとラフを薄くできますよ
私はいつもラフのレイヤーを10%くらいまで薄くして描いています
2. ペンはラフよりも細く濃く描く
使用するペンはラフよりも細くて濃いものを選びます。
ラフよりもはっきりとした線を描くことで線画に向けたイメージの収束を行います。
私の下書きのペン設定はCLIP STUDIO ASSETSの鉛筆Rを使っています
3. 全体のバランスをとるために再度アタリを描く
ラフでは全体のバランスを重視して描いたので、人体のパーツのバランスが気になる場合は下書きの際にもう一度アタリを引いて確認しましょう。
これにより全体のバランスを保ちつつ人体のバランスも取ることができます。
左右反転や切り取り、変形なども使いつつ全体のバランスを調整していきます。
4. 小物や衣装は資料を見ながらじっくり描く
小物や衣装のディテールは、資料を参考にしながら丁寧に描きます。
線が多くなりそうだったり、重なった部分があれば下書きのレイヤーを複数作ってみてください。
不明瞭な部分はできるだけ下書きの時点で無くすことで線画の際に迷わず線を描くことができます。
5. 要素を削って描く
要素を詰め込みすぎたり、あまりにチャレンジな要素が多いとそもそも絵として完成しない可能性も出てきます。
時にはラフで発散させたアイデアを削る判断も必要です。できるだけ描き込む前に判断できるようにしましょう。
🖊 先程のラフの右を採用しました。全体のバランスを取り直して、左手の飲み物は削りました
線画
さて、いよいよ線画です。下書きをもとに清書していきましょう。
ポイントは4つです。
1. 下書きを薄くして新規レイヤーで描く
下書きのときと同じく、前の工程で作ったレイヤーを薄くして新しいレイヤーで線画を描き始めましょう。
レイヤーが複数あるときはまとめたフォルダを作ってフォルダーの透過率を変えると一括で変更できます。
また、後からの変更が難しいため線画を描く前にもう一度キャンバスの解像度の設定を確認しておきましょう。
(小さかったら下書きを拡大させればOKです)
長辺が2000pxくらいをおすすめしています。
2. さらに細く濃いペン設定で描く
使用するペンは、下書きの時よりもさらに細く濃い設定にします。
細くしすぎると難易度が上がるので、調整しながら試してみてください。
私は毎回色々変えて試していて、今はCLIP STUDIO ASSETSのSUクリームペンシルを使用しています。
3. きれいな線を描くことに集中する
キャンバスを拡大したり回転させたりしながら、きれいな線を引くことに集中します。
全体のバランスをラフ ~ 下書きでとっているので、線にだけ集中して全体の完成度を高めましょう
4. 必要な部分は別レイヤーにして描く
目や口など、微調整の可能性があるパーツはレイヤーを分けて描きましょう。
また、小物や背景など独立したパーツも大まかで良いので分けておくと後から調整できて便利です。
まとめ
ラフから線画までの工程のポイントを解説しました。
ここで解説したポイントや方法はあくまで初学者の人のガイドになればと思って書いているので、上達してきた人はここの方法に拘らず自分なりの方法を見つけてみてくださいね。
いつか着彩の記事も書ければと思います。
オドシ