【絵が上達する模写術】伸び悩む人のための4つの練習法
イラストの練習として、模写は有効です。
ただ、漠然と描いていてもなかなか上達しないのが難しいところ。 今回は、模写をするときに意識することや、オリジナル絵に繋げられる模写のやり方について書こうと思います。
模写で身につく3つの力
最初に、模写で何が鍛えられるのかを整理しておきます。 ここを意識するかしないかで、同じ1枚でも得られるものが全然違ってきます。
- 絵柄のインプット力:「ここはこう省略するんだ」「この線はこう繋げるのか」という気づきの蓄積
- 構図取りの力:全体のバランスを見て、どこに何を置くかを決める力
- 立体把握の力:平面の絵の奥にある立体を読み取る力
このあとの「完全模写」「曖昧模写」「パーツ模写」「記憶模写」は、どの力を重点的に鍛えたいかで使い分けます。
完全模写
模写というと、アニメのキャプチャや漫画などの版権ものを見たままそっくりに描く、 完全模写(勝手に命名しました)を思い浮かべる方が多いと思います。
この完全模写、やり方を間違えると非常に効率の悪い練習になってしまいます。 その一番の落とし穴が、描くときに線だけを追ってしまうことです。
全体のバランスを見ずに、端から線を写していくのはオススメしません。 最初にアタリを描いて、そのキャラがどんなポーズをしているかを頭で理解してから描く。

これだけで完全模写はグッと上達に繋がるようになります。
気づきメモのすすめ
完全模写は絵柄のインプットが一番鍛えられます。
何枚か描いているうちに「ここはこう描くのか」という気づきが出てくるはずなので、 忘れないうちにメモしておくのがオススメです。
例:
- 鼻は点1つで省略してる
- 髪の毛の束は3本1組で描いてる
- 目のハイライトは白目にはみ出してる
こういう小さな気づきが積み上がっていくと、自分の引き出しに変わっていきます。
曖昧模写
これも勝手に自分が命名した、完全模写と対をなす描き方です。
やり方はシンプルで、アタリを描いて構図を決めたら、あとは自分なりに描き進めていくだけ。
バランスさえ取れていれば、元の絵と似ていなくても構いません。 描いている途中でわからない場所が出てきたら、そのときだけ元の絵を見る。
この描き方で鍛えられるのは、構図取りと立体把握です。
オリジナル絵を描くときに必要なのは、見たまま描く力よりもバランスの取れた絵を描く力です。
完全模写ばかりで伸び悩んでいる方は、一度こちらを試してみてください。
パーツ模写
もうひとつ、地味ですが効く練習としてパーツ模写を紹介します。
苦手な部分(手・足・服のシワ・横顔など)だけを、1ページに10個〜20個並べて描く方法です。 1枚絵を完成させる必要がないので心理的ハードルが低く、 苦手箇所をピンポイントで潰したいときに効きます。
「今日は手だけ20個」「今日は横顔だけ」のようにテーマを絞るのがコツです。
記憶模写
最後に、ちょっと変わり種として記憶模写を紹介します。
やり方は、元絵を30秒〜1分くらいじっくり観察して、そのあと元絵を隠して描く、というものです。 見ながら描くのと違って、頭の中に残った印象や構造だけを頼りに描くことになります。
これが何の練習になるかというと、観察力と抽象化の力です。 「この絵の本質はどこか」を掴まないと手が動かないので、無意識にディテールより構造を見るようになります。 描き終わったら元絵と並べて、差分から学ぶのがセットです。
短時間で終わるので、集中力が切れたときの気分転換にもちょうどいいと思います。
トレスとの違い
コメントでもよく質問をいただくのですが、トレス(元絵の上からなぞる)と模写は別物として考えています。
| トレス | 模写 | |
|---|---|---|
| やること | なぞる | 見て描く |
| 線を引く練習 | ◎ | ◯ |
| 立体・構図の理解 | △ | ◎ |
| 引き出しの増え方 | △ | ◎ |
絵を描き始めたばかりの時期は、トレスでも「線を引く経験」そのものが糧になります。
ただ、ある程度描けるようになってもトレスだけを続けていると成長が止まりやすいです。
いずれは模写に移行するくらいのつもりで使うのが良いと思います。
よくある悩みQ&A
長年コメントをいただいてきた中で、特に多かった悩みをまとめました。
Q. 描いてる途中で何度も元絵を見直すべき?それとも最後まで描いてから? → 最後まで描いてから見直すのがオススメです。「1枚描く → 見直す → 次に活かす」のサイクルを回すほうが上達が早いです。
Q. 完全模写のときもアタリは描いたほうがいい? → オリジナル絵を描きたいなら、描いたほうがいいです。アタリを省略する癖がつくと、いざ自分でポーズを考えるときに詰まります。
Q. 模写とアタリ、どちらを先にやるべき? → 並行がベストです。「〇〇だけ」に絞る練習は伸び悩みの原因になりがちです。
Q. 「似せること」ばかり意識してしまいます → 似せる力は副産物です。本来の目的は、自分の引き出しを増やすこと。似てなくても、新しい描き方を1つ覚えられたならその1枚は成功です。
Q. 1枚に完璧を求めて途中で折れてしまいます → ズレに気づいてもひとまず完成まで持っていったほうがいいです。「完璧になってから次へ進む」は絵の練習では機能しません。自分にとっての完璧が、他人から見て完璧とは限らないからです。
Q. 他人と比べて焦ってしまいます → これは僕も通った道なのでよくわかります。ただ、「イメージ力」のような才能めいたものは存在しません。サラッと描ける人は、過去に同じような構図を描いたことがあるだけです。自分が描いてきた経験を、もう少し信じてあげてください。
Q. 他人の絵のポーズだけ拝借してオリジナルとして描くのはアリ? → 練習の範囲なら全く問題なし。公開するかどうかは、最終的に自分の良心との相談になります。全くの別物に見えるならOKというのが個人的な意見です。
まとめ:意識するところを変えてみよう
今回は模写をするときに気をつけていることを書きました。
- 完全模写:絵柄のインプット用。アタリから入って、気づきをメモする
- 曖昧模写:構図・立体の練習用。自分の絵柄で描き進める
- パーツ模写:苦手つぶし用。テーマを絞って数をこなす
- 記憶模写:観察力・抽象化の練習用。観察してから隠して描く
頭で考えて描くことはとても重要です。描いている上での「なぜ」を大切に練習していきましょう。
では、ここらへんで。
